両親へのプレゼント  No16

  夏も終わろうとしていた9月下旬に、梨奈から手紙が送られてきた。


  手紙の内容は、満室にもかかわらず泊めてもらったというお礼、そして、残念ながら父の洋が、9月20日に亡くなってしまったこと....


  梨奈の父が8月1日に再入院した時、医者から悪性の癌のため、あと長くて2ヶ月と言われていたのだ。


  しかし、最後に三人で思い出を作りたかったので、父の洋には内緒で母と相談をして、このホテルに宿泊をしようと決めていたとのことであった。


  洋は亡くなる直前に、
 「また、この前のホテルにみんなで行きたいな」という言葉を残し...


  そして、最後に父は苦しかったはずなのに、亡くなった時の顔は微笑んでいるように
見えたと書かれていた。



  梨奈は父親の遺言どおりに、毎年、8月16日に(大文字の送り火)梨奈と母親が父に逢うため、このホテルに宿泊をされている。


  もちろん、部屋番号は816号室である。



                       おわり


 
  ※これは私が実際に体験をした真実の物語です。登場される人物は仮名とさせて頂きました。皆様からのコメントを頂ければ嬉しいです。

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