2020年4月のブログ記事

  • 奇跡を信じて  NO26 最終戦

    9月16日、最終戦となった。 現在、ジャガーズと首位のパイレーツとの差は、わずか0.5である。 つまり、今日、ジャガーズとパイレーツが引き分けであっても優勝なのだ。 そして、ホームランキングは前回と変わらず、バークランドが43本、 田村が42本で、わずか1本差であった。       (実況中継) ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO25 優勝争い

    7月下旬になった。    ジャガーズは、貯金を5としていたが、首位のパイレーツとは、6ゲームの差があった。 そして、ホームランではパイレーツの主砲、バークランドが32本、ジャガーズの田村は、ここ一週間で8本打ったため、27本になり、その差を5本としたのである。 8月の初め、大地はまだ集中治療室のま... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO24 夢の中で

     7月10日より、オールスターゲームが始まる。  田村の前半の成績と、後半の人気があまり伸びなかったため、メンバーに選ばれなかった。監督推薦という話もあったが、田村は丁重に断った。  大地の体調が急変したのは、大阪ドームへ行ってから5日後のことであった。  高熱が続き、大地はずっと寝たきりとなって... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO23 約束したプレゼント

    「現在、4対1でパイレーツがリードしています。5回裏、2アウト1塁で田村がバッターボックスに入りました。カウントは2‐3となり、ピッチャー野口、投げました。田村、打ちました。打球はライト方向へ飛んでいます。ライトは、完全に諦めました。田村のホームラン、2ランホームランです。4対3、1点差となりまし... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO22 大阪ドームに招待された家族

    本日は、土曜日で家族連れが多く、観客数が5万2千人と発表された。 大阪ドームへ招待された大地の家族は、少し興奮気味であった。      (実況中継) 「本日は、ジャガーズとパイレーツの戦いを、みなさんにご覧頂きたいと思います。現在、ジャガーズは、13勝13敗で何とか、タイにはなっていますが、首位の... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO21 大地の誕生日

     幸雄とひとみは、朝の10時頃に病院へ着いた。    「大地、誕生日おめでとう」とひとみが言った。 「さあ、出かけるぞ」と幸雄が言うと、 「どこへ行くの?」と大地は、二人に聞いた。 「大阪ドームだよ」 「何があるの? 遊ぶところ?」と大地が聞いた。 「違うの。田村選手がいるところよ。田村選手が、大... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO20 少しの奇跡

      (翌日、大地の病室にて)  「大地、元気にしているか?」と幸雄が聞くと、  「元気じゃない」と大地が答えた。  大地は、ここ数日間、微熱が続いていたのだ。  「もし、大地が元気になったら、誕生日にすごいプレゼントがあるんだよ」  と幸雄が言うと、  「プレゼント? パパ、何をくれるの?」と大地... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO19 白血病との闘い

    6月中旬に入ってから、大地の身体が以前に比べ、少し弱ってきたのだ。    抗がん剤を点滴に入れて投与を続けることになった。 大地がその薬のせいで、何か食べようとすると気分が悪くなり、吐きそうになったりしているのを見ていると、ひとみはとても辛く、できるものなら自分が代わってやりたい思っていた。   ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO18 妻との約束

     私(田村)はシーズン中、自宅に帰ることができないため、2、3日に一度は、妻に電話を入れることにしている。  そして、私はいつものように妻の携帯へ電話をした(メール、LINEが苦手で) 「もしもし、俺だけど......紀子、元気にしているか?」と私が言うと、 「元気よ。いつもそんなことを聞かないの... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO17 大地への嬉しい報告

     二日後、私はナイターが終了してから、22時頃に村山の自宅へ電話を入れた。 「夜分に突然、申し訳ございません。田村博と申します」と言うと、 「ジャガーズの田村さん?自宅の電話番号はどうしてご存知で?」とひとみが聞いたため、 「実は、以前の大地君からの手紙で、ご自宅の電話番号が書かれていたもので..... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO16 主治医への相談

     翌日に大地の両親は、7月4日の件で、主治医の阿部に相談することにした。    「大地君の様態は、以前に比べるとだいぶ良くなってきていますので、1泊程度の外泊許可は出せます。しかし、村山さんが言われたように、球場となると話は別です。一番の原因は、感染を恐れているからなのです。ただ、球場といいいまし... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO15 田村からの初めての手紙

    六月の中旬に、私(田村)は初めて大地宛に手紙を送った。        大地くんへ 「こんにちは、大地くん。げんきにしていますか。ぼくも、ホームランをうてるように がんばるので、大地くんもがんばって、びょうきとたたかってね。 こんどの大地くんのたんじょうびに、あえることをたのしみにしています」   ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO14 誠の嫉妬

    大地が田村のサインボールを持って、ニヤニヤとしていたため、  「大地君、そのボールどうしたの?」と誠が尋ねた。  「ジャガーズのタムのサインボールだよ」  「いいな、僕もほしいな。ちょっと見せて」  「だめ、僕の宝物だから」と大地は断った。  「ケチ! ママにチクルから」と誠が言ったため、  「チ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO13 田村が試合に出なかった理由

     大地は入院して一ヶ月になるが、唯一の楽しみは部屋のテレビで、ジャガーズを応援することである。ただし、大地の部屋は二人部屋のため、夜の8時までしか見られないのだ。そして、いつものように大地がテレビをつけると、何かが違っていた。   「ママ、タムが出ていないよ」と大地が言った。 「ほんとに?」とひと... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO12 田村の停止処分

    2日後、私は広報担当の安井に呼ばれ、事務所へ入った。 「安井さん、試合前に何か急用なことでも?」と私が尋ねると、 「急用なことだ。結論から言うよ。今日から君は一週間、停止処分だ」 「俺は、怪我なんかしていませんよ」と言うと、 「怪我のほうがましだよ。明日の写真週刊誌に、君の記事がでることになった」... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO11 大地との約束

    6月になり、私(田村)は本拠地に戻った時、再び大地に会おうと決めていた。 前回のように、3試合目が終わった翌日に、大地が入院している病院へ向かった。 今回は、病室も覚えていたため、問題なく入ることができた。 「こんにちは!」と私は言って、大地のベッドへ向かうと、 その日は、ひとみだけが大地の見舞い... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO10 大地からの手紙

    新大阪駅では、すでにチームメイトが到着していた。 私(田村)は平田コーチに礼を言い、新幹線に乗り込んだ。そして、平田に全ての真実を話すことにした。 その話を終えた後、平田は私に「その少年のためにも良い成績を残すことだな」と言ってくれた。 今現在、ジャガーズは10勝15敗である。 首位のパイレーツと... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO9 田村の突然の訪問

    翌日からジャガーズは、東京パイレーツとの3連戦があったが、一勝二敗で負け越してしまった。 ほとんどの野球評論家の予想では、今年も東京パイレーツが有力であった。 先日のテレビ中継では、ジャガーズキラーの辛口で有名な久米が、 「今年もジャガーズは、いいところで4位ぐらいでしょうね。田村も今年がだめだっ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO8 大地の病室にて

     大地の祖母の明子が大地の病室へ入ると、明子に気付いたひとみが、 「お母さん、遅かったじゃない」 「ごめんね、でも大ニュースがあるの」と明子が大声で言ったため、 「何よ、大ニュースって? ここは病室なのにそんな大きな声で話さないで」 とひとみが少し感情的に言ったのである。 「実は、この近くで、ジャ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO7 アクシデント

    (5月10日) 私(田村)はその日、移動日であったため、新幹線で東京から新大阪まで行き、その後、貸切バスで大阪市内のホテルへ向かう途中であった。 バスに乗ってから数十分ぐらいで、急ブレーキにより私達の乗っていたバスが停まった。 私は前方を見ると、横断歩道を自転車で渡ろうとしていた女性が倒れていたの... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO6 大地の検査結果

    大地は、家から車で15分のところにある小児科を受診し、その後、血液検査を受けた。その日は、その検査だけで一日が終わってしまった。 そして検査結果が出た後、再度、専門の検査を受けなければならないということで、ひとみは翌日に、紹介された病院へ行くこととなった。 その病院の受付をした後、血液内科というと... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO5 大地の幼稚園

    「大地君、どうしたの?大丈夫?」と園庭で一緒に遊んでいた園児の一人が聞いた。 大地は、さっきまで友達とボール遊びをしていたのに、急にしゃがみこんでしまい、鼻血を出したのだ。 「藤井先生、大地君が大変!」 もう一人の園児が、近くにいた担任の藤井を呼びに行った。  藤井は、小走りで大地の方へ来ると、 ... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO4 紀子の病室にて

    別室に呼ばれた私は、 「先生、妻は大丈夫でしょうか?」と医師に尋ねると、 「奥様は大丈夫ですよ。ただ、お腹の赤ちゃんは、残念ながら…」 と医師は言葉を詰まらせた。 「冗談は、よしてください!」 「正直に申し上げます。残念ですが、奥様は流産されました」と医師は伝えた。 「.............」... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO3 5年前の悪夢

    シーズンも終わり、私(田村)は久しぶりに自宅へ戻った。 私は妻の紀子と、来年の春に生まれる予定の子どもを連れ、車で東北の温泉へ行くことにした。私達は旅館に1泊して、帰りの車中で、楽しかったことなどを話していた。 高速道路も、夕方になると渋滞となってきた。 「まだ2時間は、かかりそうだな」 「仕方が... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO2 Rホテルのバーラウンジにて

     田村は、私より先にRホテルに着いていた。 「田村、久しぶりだな。大スターに呼ばれて光栄だよ」  と私は冗談半分で言うと、 「馬鹿なことを言うなよ。そんなことより、急に呼び出して悪かったな」と田村が言った。 「いや、俺も最近、仕事が忙しくて飲みに行ける余裕がなかったからな。ところで、晩飯は食ったの... 続きをみる

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  • 奇跡を信じて  NO1 運命の電話

     その日、高校時代の友人であった田村から、私の携帯へ連絡が入ったのは、夜の11時を過ぎていた。  田村は現在、プロ野球で有名な大阪ジャガーズで活躍している選手である。    当時の彼は高校での三年間、硬式野球クラブに在籍していた。   高校時代の彼は、四番打者でファーストのポジションであった。彼が... 続きをみる

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