奇跡を信じて  NO20 少しの奇跡

  (翌日、大地の病室にて)
 「大地、元気にしているか?」と幸雄が聞くと、
 「元気じゃない」と大地が答えた。


 大地は、ここ数日間、微熱が続いていたのだ。
 「もし、大地が元気になったら、誕生日にすごいプレゼントがあるんだよ」
 と幸雄が言うと、
 「プレゼント? パパ、何をくれるの?」と大地が聞いた。
 「パパからではないのだけれど....今は秘密。でも、大地の熱が下がって、元気にならないとあげられないんだ。きっと大地は喜んでくれると思うよ」と幸雄が言った。
 「ほんと? 絶対、元気になる」と大地は明るく言った。


幸雄とひとみは、大地の誕生日である7月4日の件は、ほぼ諦めかけていた。


しかし、6月20日頃より大地の熱も不思議と下がり、体調も少しずつ良くなってきたのである。正直、医師の阿部も驚いていた。


そして、大地の体調が以前のように回復して、ようやく医師から外出許可が出たのである。もちろん、大阪ドームの観戦も個室ということで、了解をもらったのだ。



                       つづく

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