奇跡を信じて  NO19 白血病との闘い

6月中旬に入ってから、大地の身体が以前に比べ、少し弱ってきたのだ。
  
抗がん剤を点滴に入れて投与を続けることになった。
大地がその薬のせいで、何か食べようとすると気分が悪くなり、吐きそうになったりしているのを見ていると、ひとみはとても辛く、できるものなら自分が代わってやりたい思っていた。
  
ひとみは自宅へ戻り、幸雄に、
「大地の辛い姿を見ていると、本人の前で涙が出そうになるの。こんなに辛い治療をして、ほんとうに元気になってくれるのか、分からなくなってきた。もうこれ以上の治療を続けても大地が可哀そう.....」
と言うと、
「そんな馬鹿なことを言うなよ。大地はきっと元気になるから。俺は絶対に信じているよ。 でも......大地の誕生日に大阪ドームへ連れて行ってやりたかったけど、今の状態だと難しいかな」
と幸雄が言った。すると、ひとみは、
「大地のために何とかしてあげたいね」
「明日、俺が大地に話をしてみるよ」と幸雄が言った。
   
                     つづく

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