奇跡を信じて  NO1 運命の電話

 その日、高校時代の友人であった田村から、私の携帯へ連絡が入ったのは、夜の11時を過ぎていた。
 田村は現在、プロ野球で有名な大阪ジャガーズで活躍している選手である。
 
 当時の彼は高校での三年間、硬式野球クラブに在籍していた。 
 高校時代の彼は、四番打者でファーストのポジションであった。彼が高校三年の時、甲子園では準決勝まで進み、その大会で、彼はホームランを五本打ったこともあるのだ。
 その後、彼の努力が実りドラフト五位で、大阪ジャガーズに入団することができた。


 彼は今年で16年目のベテラン選手である。
 しかしながら、マスコミの噂では、彼の去年の成績が思わしくなく、今年で引退であろうと囁かれていたのであった。
 
 その彼が今年、奇跡を起こすことになるとは、誰もが予想していなかった。



「悪かったな、こんな遅い時間に」と田村は言った。 


「久しぶりだな、田村」と私が言うと、「ところで、どうして俺の携帯番号を知っていたの?」と私が聞くと、


「二年前の冬に、高校の同窓会があっただろ。その時に、白鳥が名刺をくれた時に、携帯番号を書いてくれたことを思い出したんだ。白鳥が確かホテルに勤めていたと聞いたものだから」と田村が言うと、


「なるほどね、やっと思い出したよ。それで一体どうしたの? 又、同窓会でもするのか?」と私が聞くと、


「いや、違うんだ。今度、白鳥が勤めているクイーンズホテルを利用させてもらいたいと思って」


「どうもありがとう。田村が宿泊をするのか?」


「泊まりではなく、宴会場を利用したいので、白鳥に相談しようと思ったんだ」と田村が言った。


「そうか、わざわざ電話をくれてありがとう」と私が言った。


「近いうちに会えないかな?」と田村が聞くと、


「そうだな......今週の金曜の夜なら、俺は夜勤明けで、翌日が休みだからありがたいんだけど」と私が言った。


そして、私達の待ち合わせ場所は、大阪市内のRホテルのバーラウンジに、20時と決めた。


                        つづく

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