両親へのプレゼント  No3


 「他の市内のホテルに空き状況を確認をしますから、あと15分ほど待ってもらえますでしょうか?」
  と伝えた私はフロント事務所へ戻り、市内にある10件程度ののシティホテルへ電話を入れ確認をした。しかしながら、良い結果は得られなかった。


  彼女にその結果を報告すると、


 「いろいろと調べていただいてありがとうございました。来年はできるだけ早く予約を
  入れるようにします」と彼女は言うと、


  彼女は席を立ち、私に深々と礼をした。


  そして、彼女が玄関へ向かおうとしていた、その数十秒の間に私の頭の中では、


 (彼女のために何とかできないのか? このホテルも他のホテルも満室で厳しい状況だ。でも、なんとかなるかもしれない!)


  と私が思った瞬間、
  「お客様!」と私は彼女を呼び止めていた。


  彼女が少し驚き、こちらへ振り返ると、私は彼女のほうへ歩み寄った。


  「あと、5分だけ待っていただけませんか?」
  と私が聞くと、彼女はまったく不審がらずに微笑み、玄関にほど近いロビーで待ってくれた。


                           つづく

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