両親へのプレゼント  No12

   「はじめまして。小池でございます。今日はお世話になります」と彼女の父が言うと、


   「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。ご結婚20周年おめでとうございます」と私が言うと、彼女の父、洋が少し驚いた表情をされたので、


   「実は、梨奈さんから、今日がご結婚記念日だと聞いておりましたので」


   「そうだったのですか? 今回はいろいろと皆様には、ご迷惑をおかけして申し訳なかったです。今日は大変楽しみにしています」


   「いえ、とんでもございません。本日は、ご家族でごゆっくりお過ごしくださいませ」と私は言った。


   「ご登録は、どなたがされますか?」と私が梨奈に聞くと、


   「梨奈が書いてくれる?きれいな字で書いてね」と彼女の母親が言ったため、


   「だったら、お母さんが書いてよ!」


   「お前たち、ここまで来て喧嘩をしないでくれよ。恥ずかしいだろ」と洋が言うと、二人は顔を見合って笑った。



    結局、梨奈が全て記入し終えると、



   「今日はこの後、ご家族で大文字の送り火を見に行かれますか?」と私が尋ねると、


   「ぜひ、みんなで行きたいと思っていたのです。テレビでは何度も見ていますが、実際に一度も行ったことがなかったので....」


                                                                                       
                                                                                          つづく

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