両親へのプレゼント  NO14

  予定通りに19時のバスに家族で大文字の送り火へ行かれ、21時30分頃に帰って来られた。


  私はその日、部屋がなんとかオーバーすることなく、満室になったことで安心をしていた。


  深夜0時過ぎのことであった。


  本日のナイトスタッフの仲田が、
 「小池様という若い女性が呼んでいますよ」と言った。


  私はすぐにフロントカウンターへ出ると、


  「どうかされましたか? こんな遅い時間に...」と私が言うと、


  「今日はありがとうございました。両親も非常に喜んでくれて、さっきまで久しぶりに家族と部屋でおしゃべりをしていました。最高の思い出になりました」と梨奈が言うので、


  「それは良かったですね。私もすごく嬉しいです」、


  「おやすみなさい」と彼女は言って、部屋へ戻った。


  その時、彼女は嬉しいはずなのに、私には彼女が少し悲しげに見えたことが気にかかっていた。



                       つづく

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