奇跡を信じて  NO29 9回裏 ジャガーズの攻撃

「9回表を終了し、3対2でパイレーツがリードしています。 ジャガーズの9回裏の攻撃は、1番の風間からです。ピッチャーは亀山に代わって野口が7回、8回を好投しています。果たして田村まで廻ってくるのでしょうか? 1打席目のホームランで42号となり、バークランドと並んでいます。川籐さん、田村の次の打席が楽しみですね」
と江川が言った。
  
「確かに楽しみですが、野口は勝負をしますかね? ジャガーズのファンは、絶対に勝負しくれることを願っているのにね」
と川籐が言った。
  
「一番、風間がバッターボックスに入りました。 初球を打ち、センター前ヒットです。
ノーアウト 一塁で同点のランナーが出ました。2番の中谷、バンドで送るのか、それとも打っていくのでしょうか? 野口、第1球目を投げました。 アウトコース高め、ボールです。そして、第2球目を投げました。 中谷、バンド、セーフティバンドです。ピッチャー、2塁を諦め1塁へ投げ、間一髪アウトになりました。 1アウト2塁です。 3番の高木が、ここでヒットを打ってくれれば、同点の可能性があります。 野口、第1球目を投げました。 高木、打ちました。 打球はライト方向へ飛んでいます。 ライト、バックしています。 打球はスタンドへ入るのか? ライトはジャンプをして捕っています。 それを見て、風間は3塁へタッチアップしました。
2アウト3塁となりました。 ここで、4番クルーズがバッターボックスへ向かいます。
野口、1球目、2球目とボールは低めに入り、2ボールとなりました。
やはり、クルーズの一発が怖いのでしょうか? そして、野口、第3球目を投げました。
しかし、ボールは低め内側に入り、クルーズの足首近くへ当たっているようです。
デッドボールです。2アウト1塁、3塁となりました。 再びチャンスで田村の登場です。 
ぜひとも、田村に打ってほしいですね」
  
「野口は、恐らく田村とは勝負しないでしょう。 満塁策にする可能性がありますね。
現在、パイレーツのバークランドとホームランが42本で並んでいますから、残念ですが敬遠するでしょうね」
と川籐が言った。
  
「やはり、敬遠のようです。すでにキャッチャーは立ち上がっています。大阪ドーム内、ほとんどのファンからはブーイングの嵐です。 田村が一旦、バッターボックスをはずしました。そして、バッティングコーチの平田がサインを出すと、田村は肯きました。  今のサインは、何を意味するのでしょうか? ここでフォアボールですと、ホームランキングはパイレーツのバークランドと並び42本になるわけですが、田村の最後の打席だったので、勝負をしてほしかったですね、川籐さん」


                      つづく

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