奇跡を信じて  NO30 ビデオ判定

「野口は、第1球目、2球目と明らかにボールを高めに外し、2ボールとしました。そして、3球目もボールです。あと残り一球となりました。大阪ドーム内、ほとんどの観客は総立ちになっています」


「勝負しろ!」「野口、逃げるな!」とほとんどの観客が大きな声で叫んでいた。


しかしながら、キャッチャーは立ったままである。 そして、野口がセットポジションから、第4球目を投げたのだ。


「田村はまだ打つ構えをしています。 そして、野口、第4球目を投げました。ボールは田村の胸の高さあたりへ、フォアボール、いや、田村はバットを大きく振りました。打球はセンター方向へ飛んでいます。 センターはバックしています。しかし、捕れません。3塁ランナーはゆうゆうホームへ、1点が入りました。センターが打球を追いかけるのを見ながら、クルーズの代走、亀山が2塁から3塁、そして、ホームへ入り同点になりました。 田村は三塁でストップか? 三塁コーチ、平田がぐるぐる手を回しています。
センターからショートへ返球され、ショートはバックホームへ、田村はヘッドスライディングしました。キャッチャー、ワンバウンドで捕り、田村の足へタッチ。  判定は? 主審は右手でアウトのポーズ! ここで、監督の野村が飛び出して来ました。主審へリクエストの要求です」


この後、審判団は録画検証を何度も確認をしています。


そして、主審の松山がマイクを持ち、
「ただいまの検証をしました結果、田村選手の足が、先にホームベースに着いていたため、セーフです。よって、ランニングホームランです」


「田村のサヨナラランニングホームランです。ジャガーズの優勝です! 何ということでしょうか? 川籐さん、奇跡ですね」
  
「だから、私は奇跡を起こすと言ったでしょ」
と川籐が目に涙を溜めて言った。 
  
「田村、ホームへ戻ってきました。その前では、全てのジャガーズのナインが集まり、
田村に手荒い祝福をしています」


 その後、
「打って良いとサインを出したが、ランニングホームランを打てとは言わなかったぞ」
と平田はうれし涙で、田村の尻を大きく叩いた。


                       つづく

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